第81回:育て収穫する喜び 園芸でいきいき生活 園芸療法 |
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健寿協同病院 作業療法士 山本 武範 |
ガーデニング、すなわち園芸は、リハビリテーションの分野において「園芸療法」という名で、治療のひとつとして位置づけられています。園芸は、土をつくり、種を蒔き、育て、収穫し、食べ、保存する、といった本来人間が生きるために今までに行ってきた活動です。 豊かな感性を育てる 園芸活動の中には、私たちの暮らしに欠かせない、様々な生活要素があります。うれしい・きれい・懐かしい・悲しい・静まる・おいしい・よい香り・いい手ざわりなど、五感に訴えるものが、たくさん含まれています。園芸療法は日々変化する植物の姿を見て、触れて、いろんなことを感じとっていく過程、成長する植物の姿に触れ、感じることが大切です。豊かな感性を得ることで生活の活力を取り戻す効果があります。 身体機能にも効果 また、感情面だけでなく身体機能面にも大きく効果を示しています。植物を育てることは、体の全てを使う仕事になります。体の運動になるだけではなく、植物とともに過すことで、嗅覚や味覚といった感覚をバランスよく刺激することができます。 介護予防には、「園芸療法」のように、一人ひとりのお年寄りに合った、心身ともに健康的になれる予防介護活動が必要です。 また、育てた花や作物を近所の方や友人に披露して、評価してもらい、次回への課題を作ることで、また意欲の向上を得られると思います。 植物にまつわる行事は、花見、七夕、バーベキュー、収穫祭、クリスマスなど一年中たくさん開催されておりますので、季節に合わせた園芸を楽しむことで、生きがいを見つけながら、体や頭を動かすきっかけにしましょう。 |