第111回:40歳以上の8.5%慢性閉塞性肺疾患
肺年齢チェックで早期発見 |
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水島協同病院院長 里見和彦 |
肺年齢測定のようす
患者数が増加
喫煙という生活習慣にかかわるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)のわが国の患者数は500万人を超すといわれています。しかも高齢化の進行とともに患者数が増加し、在宅酸素療法患者数をみても、死因順位をみても、この疾患の重要性は年々増しています。
認知度の低さが問題
一方、このCOPDの医療をめぐっては、病気の認知度が低いこと、そのため早期発見・早期治療が遅れているという大きな問題があります。最近実施されたわが国の疫学調査(NICE研究)でも、40歳以上の8.5%にこの病気が見つかる一方、その中で実際に診断されている割合は10%と驚くほど低いことがわかりました。
自覚症状あれば早期受診を
この病気は自覚症状がないまま潜行しますし、症状である息切れでさえ「年のせいだろう」と放置されがちです。その結果、患者は病気がとことん進行してはじめて医療機関を受診するということになります。
大事なことは、咳や痰、息切れといった自覚症状がある人、喫煙などリスクを持つ人が、早い段階で肺機能検査を実施することです。特に喫煙者にはお勧めです。組合員健診のオプションでもできますし、症状がある人は外来診察のときに申し出ていただければ検査を受けることができます。
ハイ・チェッカー
肺の健康状態表す身近なバロメーター
ところが、この肺機能検査は、多くのみなさんにとって馴染みが少ないのではないでしょうか。「肺活量」「一秒量」などと値を並べられても、ちんぷんかんぷんだと思います。
そこで一般のみなさんに理解しやすいよう、呼吸機能の程度を年齢で表現するよう考案されたのが「肺年齢」です。例えば、50歳の男性が肺年齢を測定したところ、「肺年齢は65歳」という結果がかえってきたといった具合です。「肺年齢」は肺の健康状態を表す身近なバロメーターです。肺機能測定により数値を出し、同年齢と比較した肺の健康状態を知るための指標です。肺機能が予測値を超えて低下した場合、実年齢に比較して「肺年齢」が高くなり、COPDの存在を疑うきっかけとなります。
この秋、各地で開催される健康まつりでも、健康相談コーナーでハイ・チェッカーを使用して「肺年齢」を測定する企画のところもあります。 |