第177回:心臓と血管の話 その④
玉島協同病院 進藤 真 院長 4回目になるこの連載ですが、内容が固かったでしょうか。
今回もまた、硬いお話…動脈硬化についてです。
年齢と共にしわが増え、肌の張りがなくなるように血管も老化が進みます。その変化が動脈硬化です。
肌の老化は不摂生な生活や日焼け、喫煙で進むのと同じように、動脈硬化も様々な因子で促進されます。@高血圧A糖尿病B高脂血症CたばこD肥満E運動不足Fストレスなどが危険因子として有名ですね。
- 古くなったホース
例えれば古くなったゴムホース
動脈硬化とは字のまま、動脈が硬くなると考えてもいいと思います。例えれば、置き古されたホースです。野ざらしにされ古くなったホースは硬く、弾力がなくなります。無理に曲げれば裂けてしまい、水が漏れてしまいます。ホースの中には水垢やゴミがたまって、流れが悪くなっていることもありますね。
これまで述べてきましたが、動脈の壁は3層からなり、水を2メートル押し上げるような強い血圧に対しても破れない構造を持ち、手足を曲げた状態でも塞がらないような弾力をもっていますし、血液が固まったり引っ付いて詰まってしまわないような構造(内膜)をもっています。
血管の硬化や狭窄がおこると
硬くなった動脈の壁は石灰化といってカルシウムが含まれ、CTでは骨と同じように血管の壁が白く見えるようになります(図参照)。このようになると血管は脆くなってしまいます。硬く弾力がなくなると血圧が上昇します。また、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)は動脈の内膜に入り込み血管の壁を厚くして、内腔を狭くして血栓ができやすい状態になります。動脈硬化が進むと高血圧が進み、もろくなった血管が破れたり(出血)、広がったり(動脈瘤)、詰まってしまったり(血栓)します。
脳梗塞、脳出血、狭心症・心筋梗塞、動脈瘤、閉塞性動脈硬化症といった病気がおきるのですね。動脈硬化による石灰化や血管の狭窄、閉塞、拡張などはCT、エコー検査で評価できますし、全身の動脈硬化の程度(血管年齢)を腕と足の血圧と脈を同時に測定して血管年齢を算出する検査もあります。これらの検査は健診や保険診療でできますから、医療機関で相談ください。