第194回:知っておきたい薬のはなしH気管支喘息に吸入薬 少ない量で副作用が少ないのが特徴
水島協同病院 薬剤部長 李 美淑(り みよし)つらい喘息…吸入薬をつかって上手にコントロールする方法を教えてもらいました。
気管支喘息の治療薬の中心は吸入薬です。吸入薬の特徴は、肺や気管支で薬が直接働くので少ない量で効き、内服薬や注射薬に比べて副作用が出にくいことが特徴です。
吸入薬の種類は、大きく分けて2つあります。1つは炎症を抑える「ステロイド薬」で、毎日使用して発作が起こらないように(重症にならないように)コントロールするためのもの。もう1つは気管支を拡げて呼吸をしやすくする「気管支拡張薬」で、発作が起きた時に発作を抑えるためのものです。
喘息をコントロールするための薬は、1日に1〜2回使用することによって効果が24時間続くように作られています。最近ではほとんどがステロイド薬と気管支拡張薬が一緒に含まれている製品となっています。いろいろな製品がありますが、医師が患者さんに合ったもの、使いやすいものを選択します。
「毎日吸入」で発作を抑制
発作を抑える薬は5分くらいで効果が出るので、発作が起きた時には有効ですが、効果はあまり長く続きません。また使い過ぎると心臓に負担がかかります。大事なのは喘息をコントロールするための薬を毎日使うことによって、発作が起こらないようにすることです。喘息の症状が無い時でも、毎日吸入して喘息をコントロールしましょう。
吸入薬は使用方法も重要です。せっかく毎日吸入していても、使い方が間違っていると期待する効果が得られません。製品によって使い方が異なりますので薬剤師にしっかり使い方のコツを教えてもらってください。
吸入後はうがいを
また、吸入後は必ず口の中と、のどの「うがい」を行いましょう。
吸入した際、口やのどに薬が付着します。これを放置すると、口の粘膜から付着した薬が吸収されたり飲み込んだりして、全身に作用する恐れがあります。
また「ステロイド」では、口の中に真菌(カビ)が繁殖する、声がかれるといった副作用を起こす恐れがあります。小さなお子さんやご高齢の方で、「うがい」をすることが難しい時は、特に吸入する時間帯の指示がなければ、食前に吸入することをおすすめします。
吸入後食事をすれば、その時の飲食によって、口やのどに付着した薬はとれてしまうため、実質的には「うがい」と同じ効果が得られます。
もし口に違和感が出てきたとしても、重大な障害につながることはありません。
自己判断はやめよう
うがいができないからといって、吸入を中断しないでください。喘息の吸入薬を中止すると、呼吸困難などの重篤な症状を招く恐れもあります。絶対に自己判断で吸入薬を中止しないようにしてください。