一度病気になると二度と同じ病気にならなくなるといわれている免疫ですが、その仕組みはどうなっているのでしょう。
細菌が体に侵入することと病気が発病すること
先ず最初に確認したいのは、細菌が体に侵入することと、病気が発病することは同じではないということです。細菌の感染があっても、細菌の数があまり増えないように免疫の力が働けば、病気の発病はない、ということもあります。
細菌の侵入で体はどうなるのか
さて、細菌などが体に侵入するとマクロファージなどの血液の細胞がいったん細菌を食べてしまい、細菌のごく一部を細胞の表面に持ってきます。一部のリンパ球がその細胞表面の細菌成分を認識すると、数を増やし、抗体を作っていきます。抗体は細菌を殺してしまうので、感染症が治るのです。この時、特定の細菌に反応するリンパ球の数は増えたままになり、抗体を作りやすい状態が維持されるので、同じ細菌が体に再度侵入したとき、次の抗体を作る反応は最初の時より早く進みます。これが、同じ病気に二度とかからない、という理由になります。
リンパ球を保つためには
このリンパ球が活性化した状態を保つには、実際には何度かここまで書いた刺激が繰り返される必要がありますし、時間の経過でリンパ球の数がまた減ってくることもあります。ですから、細菌の感染の機会がなくて前回の感染からあまり時間がたってしまう、あるいは、体の衰えで、免疫の力が弱くなってしまうといったことがあれば、同じ病気にまたかかることがあるのです。ワクチンをしたのにその病気にかかるのもこういった理由があることもあります。もうひとつ、ウイルスは簡単に自分の姿を変えていくので、前回の免疫が役に立たないこともあります。
糸のように細いのが結核菌です(図1) |
では結核ではどうか
結核は一度かかると免疫の力でも菌が体の中でごく僅かに生き残っていることがあり、免疫の力の衰えとともに高齢になって再度発症することがあります。(図1参照)
実際には細菌を退治するためには全身の状態が良いことが条件になりますので、普段から栄養状態を良くしていくことなども大切かもしれません。