第130回:どうされましたかF ニコチンには「依存性」が |
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水島協同病院 畑野 樹 医師 |
組合員さんから次のような質問がよせられました。今回は、水島協同病院の畑野樹医師にお答えいただきました。 〈質問〉「私の夫はたばこを吸っています。健康には悪いとわかっていて、何度か禁煙にも挑戦しましたが、なかなかやめることができません。まだ小さい子どももいます。どうしたらやめることができるでしょうか」 〈回答〉日本では死亡者12万人5月31日は世界禁煙デーです。今年は日本では「命を守る政策を!」というスローガンが決まっており、世界中で禁煙に向けた取り組みが実施されています。 現在、世界では毎年300〜600万人、日本では約12万人が、喫煙が原因でのガンや心臓病などで命を落としているといわれています。命の重みを数ではかることには異論もあるでしょうが、人間の命と健康についての影響は交通事故や放射能などに比べても桁違いに大きなものになっています(例えば、25年前のチェルノブイリ事故での現在までの超過死亡は累計で3〜6万という推計があります)。 子にも喫煙習慣がさらに考えたいのは、親がたばこを吸っていると、子どもにも喫煙の習慣が身に付いてしまいやすいということ。 子どもを直接受動喫煙の害から守るだけなく、健康に悪い生活習慣を身につけないよう、周りが配慮したいものです。 禁煙成功のためにたばこがなかなかやめられないのは、決して意志が弱いからではありません。ニコチンには麻薬に匹敵する「依存性」があるため、なかなか禁煙が成功しないのです。 禁煙を成功させるには、行動療法といって、喫煙に代わる行動と組み合わせるのが効果的といわれています。 自分がたばこを吸いたくなる時を確認し、吸いそうになるタイミングで水を飲んだり歯を磨いたりするのは効果的です。また禁煙するに際して、どうして自分は禁煙したいのか、理由をはっきりさせるのも、禁煙に対する気持ちを固めるのに役に立ちます。また、禁煙ガムなどの禁煙ツールを上手に利用することも成功率を高めることになるでしょう。それでもなかなかうまくいかないときは、禁煙外来を受診するという方法があります。禁煙用の薬があり、薬を使わないのに比べ、成功率が2〜3倍に高くなります。 |