第174回:心臓と血管の話
玉島協同病院 進藤 真 院長医療生協では生活習慣を地域に広める健康づくりを取り組んでいます。生活リズムを整える、十分な休養をとる、禁煙、不適切な飲酒をしない、適度な運動、低塩分、低脂肪のバランスの良い食事、適正体重、適正な血圧。すこしお(少しの塩分で健やかな)生活など。
これらの取り組みは血圧をコントロールし、加齢に伴い出現する動脈硬化の進行を予防し、心筋梗塞や脳卒中などの病気を予防するために行うものなのです。
では動脈硬化ってどんなものでしょう。そもそも血管ってどうして動脈硬化を起こすのでしょう。心臓はどうしてうごくのでしょう。血圧の圧ってどこにかかる圧でしょう。
これから数回に分けて心臓と血管、動脈硬化についてお話ししたいと思います。
今回はいくつかの質問から心臓について勉強を始めましょう。
- Q昆虫やミミズなどには心臓はあるの?
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Aミミズにも血管はありますが、何カ所かの血管が収縮して血液を循環させています 。心臓がいくつもあるようなものでしょうか。
昆虫にも心臓と呼ばれるものはありますが、はっきりとした血管はなく、送り出された液体は体中にしみ込んでいきます。人と同じ形の心臓(左右それぞれ2つの心房と心室)を持つのは哺乳類と鳥だけです。 - Q赤ちゃんの心臓はいつ動き出すの? 心臓は休まなくても大丈夫?
- A生まれる前から赤ちゃんの心臓は動いています。受精後20日くらいで心臓の原型が形成され、受精後23日ごろから心臓の拍動が開始します。
その頃の胎児の大きさはわずか3〜4oしかありません。その後、心臓は一生休むことなく動き続けるのです。
心臓の筋肉は腕や足の筋肉と違って休めなくても大丈夫なエネルギー利用法と構造を持っているのです。 - Q心臓はどうして動くの?
- A心臓の中にある洞結節という場所は自身が1分間に50〜150回の規則正しい電気信号を発生します。
その信号は刺激伝導系を伝わり、信号を受けた心臓の筋肉が興奮して心臓が収縮します。脈の速さは運動や興奮などに応じて自律神経が調節します。心臓の電気信号を記録するのが心電図検査です。
次回は心臓と血管の構造を勉強しましょう。